葉桜や一宙劃る仏の手 槐太
汽車止まるゆたかにも葉桜の下 綾子
葉桜や裸身ひかりて砂利くづす 綾子
葉桜の夕べかならず風さわぐ 信子
葉桜の駅に字を書く洋傘の尖 誓子
葉桜や石鹸の泡遠のく過去 綾子
葉桜やほどよく煮えしうづら豆 真砂女
葉桜やこころさだめて明日を待つ 源義
葉桜や末子が追ひ来て橋鳴らす 草田男
葉桜や後へは還れぬ黒き川 草田男
葉桜の雨や家居のかなはぬ身 立子
葉ざくら街道老婆らここに行き逢へり 鷹女
葉ざくらや活字大きな童話本 不死男
敗衂の地とて葉櫻蔭ふかし 悌二郎
葉ざくらや宙に翅澄む虻いくつ 悌二郎
葉ざくらや月日とびゆくわれの外 悌二郎
葉桜の並木つづけり曲りても 立子