和歌と俳句

アカシアの花

白秋
あかしやの 花ふり落す 月は来ぬ 東京の雨 わたくしの雨

牧水
袖ひろき 宿屋の寝衣 着つつ見る アカシアの花は かなしかりけり

晶子
かば色の つやよく長き 頸のべて 麒麟の食める あかしあの花

アカシヤに凭ればうなだるる花のつかれかな 山頭火

牧水
松原に いつ生ひにけむ ひともとの アカシヤ生ひて 花咲けり見ゆ

窓にふれアカシアの花露をのこす 

アカシヤの花屑ひろひ飛行機へ 杞陽

塵のごとくアカシヤの花手に足に 欣一

アカシヤのもとに梢の花も落つ 誓子

花咲きて落つアカシヤの樹のまはり 誓子

アカシヤに凭れて杞陽パリの夢 虚子

アカシヤに夕焼雲のいなびかり 蛇笏

風塵のアカシヤ飛ぶよ房のまま 青畝

アカシヤ咲けり高原の風袖吹くも 秋櫻子