停りゐる古きフオードや花うばら 草城
釣堀の垣の茨さかりかな 悌二郎
花うばらふたたび堰にめぐり合ふ 不器男
つながりて流れ来れる茨の花 風生
花いばら ここの土とならうよ 山頭火
門川の野茨の或は匂ひ来て たかし
水蜘蛛に釣場の茨花すぎぬ 麦南
茨がもう咲いてゐる濁つた水 山頭火
いちはやく石垣の茨は咲いた校長さんのお宅 山頭火
野茨や日焼けて細き子等が脛 石鼎
野茨のつぶらなる花人の裾 石鼎
野茨の昼の夢なん花真白 石鼎
逐ひあぐる牛うばらより堤上へ 石鼎
茨咲いてこんなさみしい真昼がある 鷹女
茨白し精神の歌の昧きとき 槐太
野茨やあそぶ小蟹に花を揺り たかし
野いばらのあをむとみしや花つぼみ 蛇笏
野いばらの花や昨日の歌今日の歌 綾子
野茨や母は齢を日に重ね 汀女
花茨白花は楽の通ひ易く 草田男
咲きみちて茨一片のちるはなし 蛇笏
雷雲を待つや野茨のしづけさは 林火
廃橋を野いばら白く咲き隠す 秋櫻子
野いばらに船の煤煙来てくらし 秋櫻子
野の川を隠さう茨の咲き垂るる 風生
用のなき堤に似たり花茨 青畝
女の学校紅旗かかげて花茨 草田男
小舟高く崖に吊せり花茨 悌二郎
花茨蛍は消えてはさまりぬ 静塔
花茨その肉の手を取り兼ねつ 耕衣