尻振つて椋鳥が啄む梅雨芝生
蘂みだれ降りみ降らずみ美女やなぎ
青梅雨の景とし枯れし杉残す
樹々の奥梅雨も枯葉が絶えず降る
常揺らぐ浮葉の陰の糸蜻蛉
細藺むら風に騒立ち菖蒲園
春蝉や希ひし晴の暑過ぎて
十燭光本尊照らす青葉木莵
青葉木莵懐へるときは遠くをり
巣の雀らしや出で入る天守閣
蛾をとどむ子規の三畳のぞき去る
肱川や流れそめしは早苗屑
海男児の土佐は宿毛の鯉幟
薫風に真珠育て荒男ども
花樗トラック否む子牛跳ね
期し来たる涛音はなく夜の蛙
初夏宵月白波碆に遊びをり
碆散つてわかき五月の波なき日
ひとつ碆ばかり波攻む五月晴
アマリリス土佐闘犬を飼へる門
歩危の名の二渓万緑鬩ぎ合ふ
小舟高く崖に吊せり花茨