和歌と俳句

篠田悌二郎

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夏立つやいなやに目立つ肩の痩

葉ざくらや宙に翅澄む虻いくつ

葉ざくらや月日とびゆくわれの外

黒南風や目高が鉢の外に死す

ふた重つたなき世すぎ子より子へ

初袷青春すでに子らのもの

夕栄もなく谿暮れぬ朴の花

誘蛾灯野は六月のその暗さ

繭かけつ思ひまどへる蚕あり

筆掴いて梅雨の曇りかたそがれか

あとさきに友待つ掬みこぼす

五月富士夜空に立つを疑はず

夢すでになきにはあらず水中花

一湾の朝凪漁舟撒き散らし