和歌と俳句

田植え

山やうやく左右に迫りて田植かな 虚子

田を植うる妙義の麓家二軒 虚子

田植唄ほろび風雅の道遺る 風生

軒端まで田を植ゑ来り植ゑ去れる 風生

田植衆憩ひて飲みも食ひもせず 誓子

田を植える無言や毒の雨しとしと 三鬼

線と丸電信棒と田植傘 虚子

しわしわと鴉飛びゆく田植かな 虚子

田植終りぬ円空へ田舟底平ら 草田男

田植すすむ球場勝点崇みつつ 草田男

強き母弱き父田を植えすすむ 三鬼

象潟や島をめぐりて田を植うる 青邨

赤帯の遠き田植の水故郷 不死男

笠なしの田植おぼこが兄のかげ 静塔

田を植ゑてあがるや泳ぎ着きし如 多佳子

蕗生ひし畦に置くなり田植笠 秋櫻子

月山の見えて励めり夕田植 秋櫻子

田を植ゑて相寄る影や妹背山 秋櫻子

田植笠かむりし二人トラックに 立子

二人植う山田二人のいま昼餉 爽雨

慈悲心鳥翔けゆく霧に田を植うる 秋櫻子

みよしののどんぞこの田の植ゑ終り 青畝

田植笠光まぶしとかたむけて 秋櫻子

日光衆笠着て田植伏しながら 静塔

山里やいちどに泥をこね田植 静塔

最上川田植を率ゐ田を率ゐ 静塔

田が植わりむしろさびしや島の隅 林火

絣着に田を植う賤ケ岳ふもと 爽雨