山やうやく左右に迫りて田植かな 虚子
田植唄ほろび風雅の道遺る 風生
軒端まで田を植ゑ来り植ゑ去れる 風生
田植衆憩ひて飲みも食ひもせず 誓子
田を植える無言や毒の雨しとしと 三鬼
線と丸電信棒と田植傘 虚子
しわしわと鴉飛びゆく田植かな 虚子
田植終りぬ円空へ田舟底平ら 草田男
田植すすむ球場勝点崇みつつ 草田男
強き母弱き父田を植えすすむ 三鬼
赤帯の遠き田植の水故郷 不死男
笠なしの田植おぼこが兄のかげ 静塔
田を植ゑてあがるや泳ぎ着きし如 多佳子
蕗生ひし畦に置くなり田植笠 秋櫻子
田植笠かむりし二人トラックに 立子
二人植う山田二人のいま昼餉 爽雨
慈悲心鳥翔けゆく霧に田を植うる 秋櫻子
みよしののどんぞこの田の植ゑ終り 青畝
日光衆笠着て田植伏しながら 静塔
山里やいちどに泥をこね田植 静塔
田が植わりむしろさびしや島の隅 林火
絣着に田を植う賤ケ岳ふもと 爽雨