曽良
月山や鍛冶が跡とふ雪清水
茂吉
月山にはだらに雪の残れるを三人ふりさけ心楽しも
茂吉
黒々としてつづきたる森の上に月山の膚斑に見えそめつ
茂吉
月山の山のなだりに雪げむり日ねもす立ちてそのいつくしさ
茂吉
さ霧たつ月讀の山のいただきに神ををろがむ草鞋をぬぎて
茂吉
ひさかたのさ霧に濡れてひたぶるに月山の道くだりくだりぬ
茂吉
東より 朝あけわたる ほのひかり いよいよ山に 登りてゆくも
茂吉
月山の 山の腹より 湧きいづる 水は豊けし 胡瓜を浸す
茂吉
月山の 山腹にして 雪解水 いきほひながる あひ響くおと
茂吉
月山の いただき今し かくろひて 氷の谿に 雨ふりにけり
楸邨
味噌汁の月山筍のかほりかな
茂吉
雪しろき月讀の山横たふをあなうつくしと互に言ひつ
茂吉
ここにして大きく見ゆる月山も雪近からむ秋に入りたり
桜桃村月山の雪さやかなり 秋櫻子
月山の見ゆと芋煮てあそびけり 秋櫻子
月山の見えて励めり夕田植 秋櫻子
月山の雪痕月のごとくにほふ 青邨
月山の襞に残れる雪の意味 誓子
登り来し月山雲の香がちがふ 誓子
月読の国へ月山より登る 誓子
雲霧遊ぶよ月山の尾根を越え 誓子
産む山椒魚雲の山嶺寂寞と 楸邨
産む山椒魚透きとほる水の底を掻き 楸邨
産み了へし零山椒魚足うごく 楸邨
雪解餓鬼田に子を産みその子も山椒魚 楸邨
霧匂ふ月山筍を食ひをれば 楸邨
レモンの酸月山は日に耐ゆる山 静塔
月山にねがふ形代身銭添へ 静塔