瓜すでにころがつてをり花ざかり
芭蕉林小さき芭蕉草の中
庭の草うつくしかりし青簾
向日葵の燦爛と咲き青簾
阿武隈の瀬々にかゝれる鮎の簗
日盛の蝶飛んでゐる森の中
遊船のひまな船頭と話しけり
キャンプより漕ぎ出したるボートかな
涼み舟二つ寄りそひともりをり
提灯に来てもどりゆく蚊喰鳥
山百合の大いなる花軒の端に
葉桜や白粉つけてさびしけれ
花咲かぬ藤の若葉の書斎かな
高き窓低き廂や若楓
おばしまにみなよつてゐる若葉かな
はねつるべまで梅若葉柿若葉
釣り上げて金色なるや濁り鮒
燕の子ゐると思へば昼しづか
梅漬ける小さき庵々かな
はたかれて黴飛んでゆく天気かな
傾きて大枝あるや栗の花
栗の花ゆれさはぐなり雑木山
睡蓮の鉢のほとりの木賊かな
睡蓮の鉢に雨ふる静かかな