窓開くてつせんの花咲きわたり
白き花一枚敷ける新樹かな
蛍火やこぼりと音す水の渦
烏瓜莟をあげて垣越ゆる
こよひ晴れ瓢の花や梅雨の宿
百穂の鮎篝の図鮎の宿
えぞにうの花了りたる野はありぬ
樽前は噴煙濃ゆく夕焼けす
いたどりの花万傾や月の下
虎杖の花月光につめたしや
山女魚釣熊笹葺いて谿ごもり
焼きためし山女魚せおふや大葛籠
雹いたみして蕗原のつづきけり
卯の花や厨のともし今は消え
菜種刈る菜種の花のあはれ添ふ
蜥蜴ゐる松葉牡丹は黄なりけり
天満橋見えて雨降る葭戸かな
町中に祭の山車はみどりなす
藻魚とは美しき名よ夏模様
青芦のさわぎて晩鴉帰るなり
草よりも青き李を鬻ぐなる
百姓の昼寝団扇や草の上
庭の松小さし雷呼ぶこともあらじ