和歌と俳句

鵜飼 鵜船 鵜匠

鵜を語る言葉しづかの鵜匠かな たかし

鵜篝の夢にも燃ゆる名残かな たかし

装束の真黒き鵜匠夕ごころ 青畝

山屹ちて既望を隠す鵜川かな 風生

舳なる座に一の位の荒鵜かな 風生

家に西日鵜匠もろとも田楽刺 多佳子

篝火に眼窪頬窪鵜の匠 多佳子

かをかをと疲れ鵜鵜綱ひきずつて 多佳子

鵜篝の錦帯橋を天に染め 爽雨

鵜舟くる火明りの峰をかさねつつ 爽雨

鵜の川の迅さよ時の流れより 誓子

鵜篝は靡きてすすむ幡なして 誓子

鵜篝の早瀬を過ぐる大炎上 誓子

疲れ鵜が吾ゐる舟にみな上る 誓子

高鳴つて鵜の瀬暮るるに遅れたり 多佳子

友鵜舟焔危し瀬に乗りて 多佳子

かうかうと身しぼる叱咤鵜の匠 多佳子

索かるるもまた安からむ手縄の鵜 多佳子

彼方にて焔はげしき友鵜舟 多佳子

つやつやと鵜の背鮎の背さびしけれ 楸邨

火の目して鵜は首綱の二十年 楸邨

鵜は老いて人間の目のごとく見る 楸邨