かくさぬぞ宿は菜汁に唐がらし
見送りのうしろや寂びし秋の風
送られつ別つ果は木曾の秋
草いろいろおのおの花の手柄かな
朝皃は酒盛しらぬさかりかな
ひよろひよろと猶露けしや女郎花
蔦の葉はむかしめきたる紅葉哉
棧やいのちをからむつたかづら
棧や先おもひいづ馬むかへ
あの中に蒔絵書たし宿の月
俤や姨ひとりなく月の友
身にしみて大根からし秋の風
木曾のとち浮世のひとのみやげ哉
よにおりし人にとらせん木曾のとち
月影や四門四宗も只一つ
吹とばす石はあさまの野分哉
吹落す石はあさまの野分哉
吹落すあさまは石の野分哉
吹颪あさまは石の野分哉
いざよひのいづれか今朝に残る菊
十六夜の月を見はやせ残る菊