菊の香やならは幾代の男ぶり
菊の香にくらがり登る節句かな
菊に出て奈良と難波の宵月夜
猪の床にも入るやきりぎりす
升買て分別かはる月見かな
秋もはやばらつく雨に月の形
秋の夜を打崩したる咄かな
おもしろき秋の朝寐や亭主ぶり
此道や行人なしに秋の暮
松風や軒をめぐつて秋暮ぬ
此秋は何で年よる雲に鳥
しら菊の目に立てて見る塵もなし
月澄むや狐こはがる児の供
秋深き隣は何をする人ぞ
しばのとの月やそのままあみだ坊
むかしきけちちぶ殿さへすまふとり
猿引は猿の小袖をきぬた哉
み所のあれや野分の後の菊
鶏頭や鳫の来る時なをあかし
鬼灯は実も葉もからも紅葉哉
榎の実ちるむくの羽音や朝あらし
松茸やかぶれた程は松の形