けふの今宵寝る時もなき月見哉 芭蕉
雲折おり人をやすむる月見哉 芭蕉
寺にねて誠がほなる月見哉 芭蕉
月見せよ玉江の蘆を刈ぬ先 芭蕉
あさむつや月見の旅の明ばなれ 芭蕉
升買て分別かはる月見かな 芭蕉
冬瓜におもふ事かく月み哉 素堂
此秋は膝に子のない月見哉 鬼貫
月見るや庭四五間の空のぬし 杉風
川沿ひの畠をありく月見かな 杉風
舟引の道かたよけて月見哉 丈草
岩鼻やここにもひとり月の客 去来
籾臼に肩をならべる月見哉 涼菟
はからずも琴きく雨の月見哉 千代女
何着てもうつくしうなる月見哉 千代女
芋売は銭にしてから月見かな 也有
身の闇の頭巾も通る月見かな 蕪村
月の宴秋津が声の高きかな 蕪村
五六升芋煮る坊の月見かな 蕪村
湖を月見の旅や友二人 召波
筆とりて四隅にわかる月見哉 青蘿
人並に畳の上の月み哉 一茶
古郷に似たる山をかぞへて月見哉
ぬつぽりと月見顔なるかがし哉
年よりや月を見るにもナムアミダ
酒尽て真の座に付く月見哉 一茶