岐阜県不破郡関が原町松尾にあった関所
家持
関なくは帰りにだにもうち行きて妹が手枕まきて寝ましを
後撰集・離別羈旅 藤原きよただ
今はとて たちかへりゆく ふるさとの 不破の関路に みやこわするな
俊頼
不破の関 あしみを駒に おしへゆく こゑ許こそ かすまざりけれ
仲実
東路の 不破の関屋の 鈴虫を うまやにふると 思ひけるかな
千載集・羇旅歌 大中臣親守
あられもる不破の関屋に旅寝して夢をもえこそとほさざりけれ
鴨長明
春くれば 不破の関守 いとまあれや 往き来の人を 花にまかせて
良経
ふるさとに見しおもかげも宿りけり不破の関屋の板間もる月
新古今集・雑歌 良経
人すまぬ不破の関屋の板廂あれにしのちはただ秋の風
不破の雪さながら昼の色ならず 暁台
行秋や不破の関屋の臼の音 内藤鳴雪
炉塞や不破の関屋の一かすみ 蛇笏
雪折の藪の離々たり不破の関 青畝
蝶踏んで身の匂はずや不破の関 楸邨
いまは柿照るのみに空かがやけり 秋櫻子
旗じるしひしめきし野の柿日和 秋櫻子
悉く稲架は露垂り関ケ原 波郷