和歌と俳句

永平寺

虚子
この滝の上に山田のありとかや

山頭火
水音のたえずして御仏とあり

爽雨
雪垣にしづめる鐘や永平寺

爽雨
天懸る雪崩の跡や永平寺

爽雨
禅堂へ道の割りある雪崩かな

爽雨
永平寺門前茶屋の雪がまへ

爽雨
旧道は稲架のみちなり永平寺

虚子
木々紅葉せなばやまざる御法かな

虚子
今も尚承陽殿に紅葉見る

虚子
滝風は木々の落葉を近寄せず

虚子
廻廊を登るにつれて時雨冷え

楸邨
座禅のぞき叱せられしが涼しけれ

楸邨
蜘蛛が啖ふ蟷螂寂と永平寺

楸邨
永平寺出て炎天の女体かな

秋櫻子
新涼の雲堂塵を許さざり

秋櫻子
蕎麦咲けり雲水峡をいできたる

秋櫻子
斎をうく合掌唱偈秋の風

秋櫻子
僧堂の飯の白さよ新豆腐

秋櫻子
大野分すぎて法堂ゆるぎなし

青畝
新涼や禅宗坊主美しく

青畝
四九日の僧美しき夏行かな

誓子
大雪を冠りて木々も低頭す 

誓子
の七堂雪の棟雪の棟

青畝
の音警策の音永平寺

青畝
土不踏粉雪踏めり永平寺

立子
孤雲閣夏の朝日に景展け

立子
七堂や杉に紅葉にうづもれて

楸邨
堂奥や道元留守の床の冷え