下照る夏灯車中童話を読む声あり 草田男
汗ばみて加賀強情の血ありけり 登四郎
初花を見つけしことよ雨の中 立子
雪吊の百万石の城曇る 青畝
雪解川烏賊を喰ふ時目にあふれ 綾子
初鮭や市中を通る浅野川 涼莵
物浸けて即ち水尾や秋の川 虚子
松籟も噴水に来て真白に 草田男
童顔の玲瓏たりや菊日和 秋櫻子
梢ごし旅に見下ろす運動会 草田男
びいどろに夏の蘚苔まさをなる 楸邨
旅びとに雷もとどろく秋時雨 楸邨
襖絵の蔭ひややかに武者隠 楸邨
犀川を見送り様に梅雨漏れ日 草田男
犀川も町を去る川蜻蛉来る 汀女
医王山朝日下り来て菊日和 秋櫻子
残りけり卯辰にかかる峰の雪 北枝
稲田蔽ふ雲冷やかに暮れてゆく 亜浪