雁来るや岩礁ならぶ七つ島
七つ島は岩礁なれや雁渡し
稲架照らす提灯の紋ぞ揚羽蝶
霜待つや輪塔苔の十一基
その墓に手触れてかなし星月夜
炉がこひをせるは幼な児のあるならむ
返り花残月空にまた白し
柚子黄なり恋路といへる磯ありて
鴨高く翔けて立山をよぎりたり
鯉とゐる疾き魚影や石蕗の花
医王山朝日下り来て菊日和
舟通しふかく入り来て鳰の居り
君は誰ぞと医の友問ひぬ年忘れ