和歌と俳句

水原秋櫻子

来るや岩礁ならぶ七つ島

七つ島は岩礁なれや雁渡し

稲架照らす提灯の紋ぞ揚羽蝶

霜待つや輪塔苔の十一基

その墓に手触れてかなし星月夜

炉がこひをせるは幼な児のあるならむ

返り花残月空にまた白し

柚子黄なり恋路といへる磯ありて

高く翔けて立山をよぎりたり

鯉とゐる疾き魚影や石蕗の花

医王山朝日下り来て菊日和

舟通しふかく入り来ての居り

君は誰ぞと医の友問ひぬ年忘れ