左千夫
久方の青雲高く八ケ岳峰八つ並ぶ雪のいかしさ
牧水
八が嶽峰のとがりの八つに裂けてあらはに立てる八が嶽の山
牧水
昨日見つけふもひねもす見つつゆかむ枯野がはての八が嶽の山
牧水
冬空の澄みぬるもとに八つに裂けて峰低くならぶ八が嶽の山
赤彦
まばらなる 冬木林に かんかんと 響かんとする 青空のいろ
赤彦
村一つ野中に寂し八ケ岳を埋めつくしたる雲下るなり
茂吉
信濃路の八ケ嶽見ゆ澄みはてて秋空にひくくうかべるごとし
茂吉
落葉松の木原のうへに今朝のあさけあはれ八ケ嶽白くなりたる
八ヶ岳仰ぐやわらび手にあまり 貞
秋山に雲湧き八つの峰かくる 秋櫻子
山の端にながれ凝りたり雲の秋 秋櫻子
山紅葉国原四方に暮れゆきぬ 秋櫻子
八ケ岳露の御空を噛みにけり 茅舎
枯木立ありその上に八ヶ岳 花蓑
巴旦杏もぐ庭にある八ヶ嶽 蕪城
八ヶ嶽ここに全し野菊折る 蕪城
鷹現れていまぞさやけし八ヶ嶽 波郷
あやめ咲く野のかたむきに八ヶ嶽 蕪城
主峯以下雪新たなる八ヶ嶽 たかし
雲海に溺れ喘げり八ケ岳 秋櫻子
八ケ嶽聳てり斑雪近膚吾に見せ 多佳子
雷雲を脱ぐもかむるも八ケ岳 秋櫻子