赤彦森深く 鳥鳴きやみて たそがるる 木の間の水の ほの明りかも
赤彦久方の 朝あけの底に 白雲の 青嶺の眠り 未だこもれり
赤彦一人ゐる いでゆの日かず 山に馴れし 思ひのするも さびしくありけり
赤彦花原の 道はきはまる 森の中の 静けさ思へば 鴨鳴くきこゆ
キヤンプの火あがれる空の穂高岳 楸邨
梓川瀬音たかまるキヤンプかな 楸邨
嶺の星いろをかへたるキヤンプかな 楸邨
峡の温泉は白樺を焚く火をあげぬ 楸邨
秋の風魚すみがたく長藻ゆる 蛇笏