詞花集・雑 左大弁俊雅母
夕霧に佐野の舟橋おとすなり手馴れの駒の帰りくるかも
西行
さみだれに佐野の舟橋うきぬればのりてぞ人はさしわたるらむ
定家
恋ひ渡るさのの船橋かげ絶えて人やりならぬねをのみぞなく
新古今集・冬 定家
駒とめて袖うちはらふかげもなし佐野のわたりの雪のゆふぐれ
定家
いもとわれといるさの山は名のみして月をぞしたふ有明の空
定家
ことづてよ佐野の舟橋はるかなるよその思ひにこがれ渡ると
実朝
涙こそゆくゑもしらね三輪のさき佐野のわたりの雨の夕暮れ
北枝
朱の鞍か佐野のわたりの雪の暮