和歌と俳句

秋津

奈良県吉野町御園のあたり。

大伴千室
かくのみしひやわたらむ秋津野にたなびく雲の過ぐとはなしに

金村
み吉野の秋津の川の万代に絶ゆることなくまたかへり見む

万葉集巻七
常ならぬ人国山の秋津野のかきつはたをし夢に見しかも

万葉集巻七
岩倉の小野の秋津に立ちわたる雲にしもあれや時をあい待たむ

万葉集巻七・挽歌
秋津野を人の懸くれば朝撒きし君が思ほえて嘆きはやまず

万葉集巻七・挽歌
秋津野の朝居る雲の失せゆけば昨日も今日もなき人思ほゆ

人麻呂歌集
瀧上乃三船山従秋津邊来鳴度者誰喚兒鳥

滝の上の三船の山ゆ秋津辺に来鳴き渡るは誰れ呼子鳥

万葉集巻十
秋津野の尾花刈り添へ秋萩の花を葺かさね君が仮廬に

万葉集巻十二
み吉野の秋津の小野に刈る草の思ひ乱れて寝る夜しぞ多き