和歌と俳句

長谷寺

芭蕉
春の夜や籠り人ゆかし堂の隅

荷兮
初秋や初瀬の寺の朝のさま

曾良
春の夜はたれか初瀬の堂籠

太祇
春寒し泊瀬の廊下の足のうら


子規
橘や風ふるくさき長谷の里

晶子
大和こゆる歌のひと夜の長谷の御寺雨よ細うは降りにしものか

晶子
のあたりほそき滝する谷を見ぬ長谷の御寺の有明の月

迢空
おもひでの家は つぎつぎ亡びゆく 長谷の寺のみ さやはなげかむ

晶子
わが二十初瀬の御寺のゆく春の石だたみ踏みものを思へる

櫻坡子
夜牡丹や長谷のきざはしゆるやかに

櫻坡子
楼門は夜牡丹の灯の中となる

櫻坡子
楼門の上に見ゆるも牡丹の灯

虚子
長谷寺に法鼓轟く彼岸かな

虚子
花の寺末寺一念三千寺

虚子
御胸に春の塵とや申すべき

青畝
山寺の破風のひろさや春の月