芭蕉林めぐり岐れの秋の水 野風呂
秋水の岩蝕んで二流れ 野風呂
秋水や蘆にせばまりまた広く 秋櫻子
秋水に林の如き藻草かな 風生
小筧や敦盛塚の秋の水 蛇笏
秋の水うつりしりぞく藁家あり 青畝
竹の根でかためし崖や秋の水 泊雲
神橋に晴れつゞく日や秋の水 石鼎
お滝めぐり日ぐれをもどる秋の水 石鼎
身のまはり更けてきこゆる秋の水 草城
秋の水ひとすぢの道をくだる 山頭火
秋水にうつりし人のふり向きぬ 立子
秋水に映れる森の昃りけり たかし
外濠へ落つ公園の秋の水 たかし
秋水に櫂深きとき舟疾く 汀女
秋の水やはらかに手によみがへる 汀女
秋水に五色の鯉の主かな たかし
秋水に大鯉騒ぐこともなし たかし
秋の水空のうつりて何もなし 花蓑
秋水の堰の上なり墓映る 草田男
秋水へ真赤な火から煙来る 草田男
両岸の無言の群衆秋の水 草田男
坂急に鳴る秋水を顧みる 虚子
秋水や指の水輪の川手水 草田男
もののふの八十宇治川の秋の水 虚子
桶に落つ秋水杓の廻り居り 虚子
秋水や思ひつむれば吾妻のみ 耕衣
秋水の白瀬青淵まさやかに たかし
秋水や文字刷る音は息せき切り 草田男
鳳凰堂被覆して修理秋の水 たかし
芹長けて秋の水べにけしきだつ 爽雨
鱒すぎしあと秋水にものも見ず 爽雨
水すましゐて秋水にまぎれなし 悌二郎
堰もののあれば秋水とて乱る 悌二郎
秋水となつて急ぐに蝶翅泛く 悌二郎
秋水をしぼりて岩の奈落かな 青畝