初富士に突当れとか切通
人形の春服人の前に立つ
大きくて堅き雛の袂かな
お蝋燭涅槃の仏陀いきいきと
しがらみの底ぬけ水や落椿
草餅や庇の下に閾なく
大堰や花の芥の七たたみ
子守して花の芥にたたらふむ
花の窓みな宴席のたぐひかな
はづしたる花の障子や夜に入りぬ
花の宴庇に沿うて灯りけり
胎内を出てさと白き遍路かな
お遍路に問はれてことば多きかな
飴牛の石楠花がくれ来つつあり
簀戸はめて空の光をいとひけり
赤のまま土の気もなき蛇籠より
仁王尊灯す十五夜十六夜
筌積んで船頭の漕ぐ無月かな
秋晴や神も玩具もみな弓矢
ぬき衣紋してたふれたる案山子かな
恐ろしきほど町高き下り簗
立並ぶ柳どれかは散りいそぐ