和歌と俳句

阿波野青畝

国原

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初富士に突当れとか切通

人形の春服人の前に立つ

大きくて堅きの袂かな

お蝋燭涅槃の仏陀いきいきと

しがらみの底ぬけ水や落椿

草餅や庇の下に閾なく

大堰やの芥の七たたみ

子守して花の芥にたたらふむ

花の窓みな宴席のたぐひかな

はづしたる花の障子や夜に入りぬ

花の宴庇に沿うて灯りけり

胎内を出てさと白き遍路かな

お遍路に問はれてことば多きかな

飴牛の石楠花がくれ来つつあり

簀戸はめて空の光をいとひけり

赤のまま土の気もなき蛇籠より

仁王尊灯す十五夜十六夜

筌積んで船頭の漕ぐ無月かな

秋晴や神も玩具もみな弓矢

ぬき衣紋してたふれたる案山子かな

恐ろしきほど町高き下り簗

立並ぶ柳どれかは散りいそぐ