此書屋美しとさだまる破魔矢かな
上の字の袋きせ置く破魔矢かな
注連かけて耻づることなく庵せり
寒鴉木津は木津又淀は淀
年古りし梅に圧されて納屋かしぐ
涅槃図の穢土も金泥ぬりつぶし
鵯の矢の右往左往よ椿谷
手すさびに尼のつくろふ垣根かな
丁子の香をしみなければ馴れて住む
丁子の香おひかけてくる回縁
多摩堤
花の山諸将の館の址を訪ふ
十五万石の城下へ花の坂
うちゑみて葵祭の老勅使
馬並べ葵の禰宜のたちならび
老骨の稜々として袷かな