和歌と俳句

加賀千代女

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おもひおもひ下るゆふべの雲雀かな

きのふけふの雨にも下りぬ雲雀哉

てふてふは寝てもすますに雲雀哉

ほしに合ふて翌のことまで雲雀哉

何になる空見すまして雲雀かな

何ひとつ食ふた日もなし夕雲雀

何ゆへぞ口もぬらさず鳴雲雀

乾ては草に沈むやゆふひばり

見る人は余の気もあれど雲雀哉

身あがりや雲雀の籠も地に置ず

折ふしは雲のうしなふひばりかな

草むらの留守に風置雲雀哉

朝夕は草のしめりや夕ひばり

入相に落て音なきひばり

囀りにものの交らぬひばりかな

乙鳥も土気はなれて清水哉

乙鳥来てあゆみそめるや舟の脚

舎りして笘とはならぬかな

青柳の心には似ぬかな

かはくものの種ともなるや春の雨

はる雨やもとより京は京の土

春雨にぬれてや水も青う行

春雨やうつくしうなる物ばかり

春雨やみなぬらしたき物の色

春雨や人もふとりて一二寸