言さして見直す人や朧月
行過て見直す人や朧月
水影をくめどこぼせど朧月
払ふ事松もかなはず朧月
うくひすは起せどねぶる柳哉
さそふ水あらばとぬるる柳かな
ながれては又根にかへる柳かな
のびる程恐しうなる柳かな
一もとは音なき月のやなぎかな
雲に届く近道知て柳かな
花咲ぬ身はふり安き柳かな
結ばふと解ふと風のやなぎかな
見るうちにわすれて仕まふ柳かな
手折らるる花から見ては柳かな
松原に柳は春の夕かな
吹分る柳は青し馬の髪
青柳はどこに植ても静なり
青柳やはきあつめては雪まろめ
青柳や何の用意に寝てばかり
青柳や終に燕にあふむかす
青柳や春のしらべもふところ手
昼の夢ひとりたのしむ柳哉
釣竿の糸吹そめて柳まで
晩鐘のつり合もよき柳かな
百とせにもう一眠り柳かな