雪ふるかともしびうごく夜の宿
猪の首の強さよ年の暮
荻萩と下葉くらべよ長みじか
蕎麦白き花野をゆけば花野哉
念仏よりあくびたふとき霜夜哉
山吹の莟も青し吉野川
木のまたのあでやかなりし柳哉
あばらやの戸のかすがひよなめくじり
くだけたる船の湊やほととぎす
青葉かな起て舌かく初瀬川
大歳をおもへばとしの敵哉
桐の木の風にかまはぬ落葉かな
明ぼのやすみれかたぶくうごろもち
わびぬれば身は埒もなきもづく哉
住よしや河掘添て春の海
捨舟のうちそとこほる入江かな
雲雀鳴く下はかつらの河原哉