和歌と俳句

雲雀

河岸の雲雀野広し渡し舟 虚子

なく雲雀松風立ちて落ちにけり 秋櫻子

鳴きのぼる雲雀の影や蛇籠あみ 秋櫻子

揚雲雀時々見上げ憩ひたり 素十

揚雲雀草の庵の厨より 茅舎

空蒼し放たざらめや吾が雲雀 たかし

山風にながれて遠き雲雀かな 蛇笏

雨霽れの名残り雲雀や山畠 蛇笏

浜草をくぐり歩ける雲雀かな 石鼎

雲雀鳴く塩せんべいの草加かな 喜舟

村芝居雲雀流れて上にあり 花蓑

夕月のはやばや出づる雲雀かな 草城

畦雲雀夕波あかりに見えにけり 草田男

天風が雲雀の声を絶つしばし 亞浪

ひきゝりなく川原雲雀の揚りけり 花蓑

居ながらに雲雀野を見る住ひかな 淡路女

下りかゝるつばさを張りし雲雀かな 爽雨

膝折といふ名所の雲雀かな 喜舟

すさまじや曠野の雨を揚雲雀 喜舟

数の帆は赤貝とりや揚雲雀 喜舟

どうしても見えぬ雲雀が鳴いてをり 青邨

あふぎゐる雲雀の空のかげりきぬ 立子

みんな働く雲雀のうた 山頭火

送電塔に風がある雲雀のうた 山頭火

朝まだき大空めがけ揚雲雀 石鼎

中空や囀り見えて落つ雲雀 石鼎

雲雀飼ふ隣のありて都かな 石鼎