和歌と俳句

川端茅舎

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広縁や囀り合へるみぎひだり

や銀貨こぼれし頭陀袋

囀や拳固くひたき侍者恵信

や烈風に打つ白き腹

揚雲雀草の庵の厨より

漣の中に動かずの目

こまごまと白き歯並や桜鯛

桜鯛かなしき目玉くはれけり

蜂の尻ふわふわと針をさめけり

蜆舟石山の鐘鳴りわたる

菜の花の岬を出でて蜆舟

咲いて母の初七日いい天気

梅咲いて鉄条網の倒れあり

椿道綺麗に昼もくらきかな

の里家鴨に藍を流しけり

木蓮の落ちくだけあり寂光土

花隠れ呪文きこゆるお滝様

初花や竹の奥より朝日かげ

花明り蛙もなかぬ心字池

山高みこのもかのもに花の雲

花の雲鳩は五色に舞ひあそぶ

花吹雪滝つ岩ねのかがやきぬ

藤波の松より竹へ清閑寺

銀杏の芽み空に飛べば白鳩も

大銀杏無尽蔵なる芽ふきけり