和歌と俳句

川端茅舎

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木蓮に瓦は銀の波を寄せ

一天やの声充ち満ちぬ

鶯歌ふ御空に朴の葉の車輪

ぜんまいは長け鶯は声張りあげ

鶯や落暉は瑠璃の天を衝き

鶯に夕星二三ひかりそむ

春水の底の蠢動又蠢動

まつ青に鐘は響きぬ梅の花

の声おほきくひんがしに

買得たり鶯団子一人前

唯三つぶ鶯団子箱の隅

皆懺悔鶯団子たひらげて

一天やの声透き徹り

の声澄む天の青磁かな

妙法の太鼓も響きも咲き

奉納の手拭に梅枝を延べ

穴守の御堂ははるか潮干狩

草餅のすこし届きし志

玉椿大空に日は食まれをり

咲くや豆腐とんとん賽の目に

の中鐘のひびきを撞くが見ゆ

羊羹の面ては花のくもりかな

鶯は初音し鳩は喉鳴らす

まひまひの舞も了せず花吹雪

春月や潮のごとく太鼓打つ