上總までかちわたりせん汐干潟 子規
一休に歌よませばや汐干狩 子規
内海の幅狹くなる汐干哉 子規
貝とりの沙嶋へつゞく汐干哉 子規
大船の真向に居る汐干哉 子規
夕暮の汐干淋しやうつせ貝 虚子
汐干より今帰りたる隣かな 子規
人を見て蟹逃足の汐干かな 碧梧桐
汐干船浮み上りて歸るなり 虚子
閘門を藻草閉ぢけん汐干かな 碧梧桐
葦の閒の泥ながるるよ汐干潟 蛇笏
岬宮の芽芝青きを汐干きし 碧梧桐
一揆潰れ思ふ汐干の山多し 碧梧桐
四五本の棒杭残る汐干かな 碧梧桐
絶壁のほろほろ落つる汐干かな 普羅
岩の根のあらはになりし汐干かな 石鼎
潮干狩夫人はだしになり給ふ 草城
帰らんと囃し出しけり汐干舟 喜舟
曇るほど人の出でたる汐干かな 喜舟
干潟はやみち潮の帆の縦横に 花蓑
あやまちて酒のしぶきや汐干舟 みどり女
橋の上に顔覗かれぬ汐干舟 みどり女
汐干潟望んでかくる襷かな 爽雨
よく見ゆる島の汐干の人出かな 橙黄子
石段に乾く青藻や汐干潟 橙黄子
磯岩にまだ人居りし汐干かな 橙黄子
汐干舟かへりつくして海暮れぬ 淡路女