手をついて歌申上る蛙哉 宗鑑
古池や蛙飛こむ水のおと 芭蕉
よしなしやさでの芥とゆく蛙 嵐雪
山井や墨のたもとに汲蛙 杉風
いくすべり骨おる岸のかはづ哉 去来
一畦はしばし鳴きやむ蛙哉 去来
山吹は咲かで蛙は水の底 鬼貫
から井戸へ飛そこなひし蛙かな 鬼貫
おしめども春は留らで啼蛙 千代女
このころの田にもこぼるるかはづかな 千代女
ふたつみつ飛んで見て飛蛙かな 千代女
一つ飛ぶそこで皆とぶ蛙かな 千代女
仮初の水にもさはぐ蛙かな 千代女
蛙鳴いてその蓑ゆかし浜つたひ 千代女
鳴雲雀呼戻したるかはつかな 千代女
踞ばふて雲を伺ふ蛙かな 千代女
をよぐ田も飛ぶ田も有て蛙哉 也有
独鈷鎌首水かけ論のかはづかな 蕪村
行く雲を見つつ居直る蛙哉 蕪村
閣に座して遠き蛙をきく夜哉 蕪村
彳めば遠きも聞ゆかはずかな 蕪村
苗代の色紙に遊ぶかはづかな 蕪村
日は日くれよ夜は夜明けよと啼蛙 蕪村
連哥してもどる夜鳥羽の蛙哉 蕪村
西行の席さはがしき蛙かな 召波
蓬生に身をうち付てなく蛙 暁台
蛙居て啼やうき藻の上と下 太祇
三日月の影蹈濁すかはづ哉 几董
田の水の高ふなるかも啼蛙 青蘿
蛙鳴き鶏なき東しらみけり 一茶
油火のうつくしき夜やなく蛙 一茶
片ヒザは月夜也けり夕蛙 一茶
艸蔭にぶつくさぬかす蛙哉 一茶
菜の花にかこち顔なる蛙哉 一茶
花びらに舌打したる蛙哉 一茶
かかる世に何をほたへてなく蛙 一茶
夕不二に尻を並べてなく蛙 一茶
木母寺の花を敷寝の蛙哉 一茶
むきむきに蛙のいとこはとこ哉 一茶
ゆうぜんとして山を見る蛙哉 一茶
菜畠に妻やこもりて鳴蛙 一茶
車座に居直りて鳴く蛙哉 一茶
おれとして白眼くらする蛙哉 一茶
じつとして馬に嗅るる蛙哉 一茶