鶯の麁相がましき初音かな
萬歳や踏かためたる京の土
出る杭をうたうとしたりや柳かな
風鳥のくらひこぼしや梅のかぜ
独鈷鎌首水かけ論のかはづかな
行く雲を見つつ居直る蛙哉
うすぎぬに君が朧や峨眉の月
薬盗む女やは有おぼろ月
罷出たものは物ぐさ太郎月
手ごたへの雲に花あり弓はじめ
三椀の雑煮かゆるや長者ぶり
日の光今朝や鰯のかしらより
うぐひすの賢過たる軒の梅
女倶して内裏拝まんおぼろ月
おぼろ月大河をのぼる御舟かな
櫻ちる苗代水や星月夜
柳にもやどり木は有柳下恵
一羽来て寐る鳥は何梅の月
これきりに径尽たり芹の中
しのゝめに小雨降出す焼野哉
居りたる舟を上ればすみれ哉
わらび野やいざ物焚ん枯つゝじ
野とともに焼る地蔵のしきみ哉
岩に腰我頼光のつゝじ哉
喰ふて寝て牛のならばや桃花