うかぶ瀬に沓並べけり春のくれ
白梅やわすれ花にも似たる哉
やぶ入を守る子安の地蔵尊
やぶ入や鳩にめでつゝ男山
春風のつまかへしたり春曙抄
春風に阿闍梨の笠の匂かな
うぐひすや笠ぬひの里の里はづれ
鶯はやよ宗任が初音かな
流れ来て清水も春の水に入
小舟にて僧都送るや春の水
湖や堅田わたりを春の水
春の水すみれつばなをぬらし行
流れ来て池をもどるや春の水
紅梅や入日の襲ふ松かしは
畠打の目にはなれずよ魔爺が岳
雛の燈にいぬきが袂かゝるなり
畑打や耳うとき身の只一人
石工の指やぶりたるつゝじかな
むめのかの立のぼりてや月の暈
散るたびに老ゆく梅の木末かな
大原やつゝじが中に蔵建て
しら梅や北野の茶店にすまひ取
梅散や螺鈿こぼるゝ卓の上
藪いりやよそ目ながらの愛宕山