和歌と俳句

小林一茶

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スツポンも時や作らん春の月

一莚蝶もほされておりにけり

花ちるやとある小陰も開帳仏

鼻紙を敷て居れば


這へ笑へ二つになるぞけさからは

咲やせうじに猫の影法師

陽炎や歩行ながらの御法談

目出度さもちう位也おらが春

名代のわか水浴る烏かな

土蔵から筋違にさすはつ日

山の月花ぬす人をてらし給ふ

長閑さや浅間のけぶり昼の月

畠打や子が這ひ歩くつくし原

鍋の尻ほし並たる雪解

石畳つぎ目つぎ目や草青む

松島や小すみは暮てなく雲雀

古郷や朝茶なる子も春がすみ

おれとして白眼くらする

門前や子どもの作る雪げ川

かすむ日やしんかんとして大座敷

山畠やこやしのたしにちる

小うるさい花が咲とて寝釈迦

入口のあいそになびくかな

雀の子そこのけそこのけ御馬が通る