和歌と俳句

小林一茶

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春雨や喰れ残りの鴨が鳴

菴の猫玉の盃そこなきぞ

なの花も猫の通ひぢ吹とぢよ

すりこ木の音に始るかすみ

手枕やは毎日来てくれる

春風や鼠のなめる角田川

山寺や翌そる児の几巾

西山やおのれがのるはどのかすみ

月よ梅よ酢のこんにやくのとけふも過ぬ

かしましや江戸見た厂の帰り様

うら住や五尺の空も春のてふ

穴蔵の中で物いふ春の雨

武士やに迄つかはるる

陽炎や鍬で追やる村烏

夕雉の走り留や鳰の海

昼飯をたべに下りたる雲雀

やとのより先へ朝御飯

からももんぐわとて出る子哉

春風に尻を吹るる屋根屋哉

春の風おまんが布のなりに吹

寝るてふにかしておくぞよ膝がしら

笠きるやさく日を吉日と

大雨や花の三月ふりつぶす

汁の実も蒔ておかれし畠ぞよ

一つ舟に馬も乗りけり春の雨