まりそれてふと見附たる雲雀哉
米値段斗り見る也年初状
しんしんとすまし雑煮や二人住まい
元日も立のままなる屑家哉
まん六の春と成りけり門の雪
鶯がぎよつとするぞよ咳ばらひ
正月やごろりと寝たるとつとき着
梅咲くや門迹を待つ青畳
凧の尾を咥て引や鬼瓦
歩行よい程に風吹く日永哉
誰それとしれてかすむや門の原
春もまた雪雷やしなの山
乙鳥来る日を吉日に味噌煮哉
春立や愚の上に又愚にかへる
鶏の座敷を歩く日永哉
片乳を握りながらやはつ笑ひ
二渡し超えて田を打ひとり哉
梅さくや手垢に光るなで仏
陽炎やそば屋が前の箸の山
門の蝶子が這へばとびはへばとぶ
牢屋から出たり入たり雀の子
ふらんどや桜の花をもちながら
ふらんどにすり違ひけりむら乙鳥