あつさりと春は来にけり浅黄空
雪とけて村一ぱいの子ども哉
鶯やくらまを下る小でうちん
陽炎や雫ながらの肴哉
陽炎やわらで足ふく這入口
ぼた餅や地蔵のひざも春の風
菜の花や垣根にはさむわらじ銭
べつたりと蝶の咲たる枯木哉
わか艸にどたどた馬の灸かな
我里はどうかすんでもいびつ也
鶯が呑ぞ浴るぞ割下水
麦に菜にてんてん舞の小てふ哉
梅さくや我にとりつく不精神
塀合や三尺ばかりはつ空ぞ
あまり鳴て石になるなよ猫の恋
菜畠に妻やこもりて鳴蛙
正月や辻の仏も赤頭巾
石川をざぶざぶ渡る雉哉
藪尻の賽銭箱や春の雨
茶を呑めと鳴子引也朝がすみ
人声にほつとしたやら夕櫻
此やうな末世を櫻だらけ哉
御雛をしやぶりたがりて這う子かな
御傘めす月から春は来たりけり
有様は我も花より団子哉