煩へば餅をも喰はず桃の花
やまざくら瓦ふくもの先ふたつ
古巣只あはれなるべき隣かな
地にたふれ根により花のわかれかな
花咲て七日鶴見る麓かな
古池や蛙飛こむ水のおと
誰やらが形に似たりけさの春
忘るなよ藪の中なるむめの花
さとのこよ梅おりのこせうしのむち
蠣よりは海苔をば老の売もせで
花にあそぶ虻なくらひそ友雀
鸛の巣もみらるる花の葉越かな
鸛の巣に嵐の外のさくら哉
花の雲鐘は上野か浅草歟
永き日も囀たらぬひばり哉
原中や物にもつかず鳴雲雀
笠寺やもらぬ崖も春の雨
二日にもぬかりはせじな花の春
春たちてまだ九日の野山かな
あこくその心もしらず梅の花
枯芝やややかげろふの一二寸
手鼻かむ音さへ梅のさかり哉
梅の木に猶やどり木や梅の花
紙ぎぬのぬるともをらん雨の花