のみあけて花生にせん二升樽
としどしや櫻をこやす花のちり
暫は花の上なる月夜かな
麦めしにやつるる恋か猫の妻
闇の夜や巣をまどはしてなく鵆
山吹や宇治の焙炉の匂ふ時
衰や歯に喰あてし海苔の砂
梅が香やしららおちくぼ京太郎
人も見ぬ春や鏡のうらの梅
うらやましうき世の北の山櫻
鶯や餅に糞する縁のさき
此こころ推せよ花に五器一具
猫の恋やむとき閨の朧月
かぞへ来ぬ屋敷屋敷の梅やなぎ
花にねぬ此もたづひか鼠の巣
両の手に桃とさくらや草の餅
年々や猿に着せたる猿の面
蒟蒻にけふは売かつ若菜哉
春もややけしきととのふ月と梅
はつむまに狐のそりし頭哉
白魚や黒き目を明く法の網
蒟蒻のさしみもすこし梅の花
当皈よりあはれは塚の菫草
鶴の毛の黒き衣や花の雲