声よくはうたはふものをさくら散
春雨のこしたにつたふ清水哉
花ざかり山は日ごろのあさぼらけ
ちちははのしきりにこひし雉の声
猶見たし花に明行神の顔
草臥て宿かる比や藤の花
叡慮にて賑ふ民の庭竈
よもに打つ薺もしどろもどろ哉
物好や匂はぬ草にとまる蝶
鐘消て花の香は撞く夕哉
元日は田ごとの日こそこひしけれ
かげろふの我肩に立かみこかな
紅梅や見ぬ恋作る玉すだれ
むぐらさへ若葉はやさし破れ家
うたがふな潮の花も浦の春
草の戸も住替る代ぞひなの家
鮎の子のしら魚送る別哉
行春や鳥啼魚の目は泪
糸遊に結つきたる煙哉
入かかる日も程 々に春のくれ
鐘つかぬ里は何をか春の暮
入あひのかねもきこへずはるのくれ
薦を着て誰人います花のはる
くさまくらまことの華見しても来よ