晶子
うまごやし 四つ葉見ありく こともなき 君とわれとの しとねに借りぬ
晶子
野やしろの 石のこまいぬ そのもとの あたたかかりし 馬ごやしかな
晶子
あけぼのや 雀かすめし 山烏 血をこぼし行く うまごやしかな
蝶去るや葉とぢて眠るうまごやし 久女
旭注ぐや蝶に目覚めしうまごやし 久女
うまごやし露頭の石炭をかくすなき 誓子
苜蓿に寝墓かしげり丘かしげり 誓子
苜蓿に寝墓を銘をのこしける 誓子
苜蓿天主の婢僕十字のもと 誓子
苜蓿や墓のひとびと天に帰せり 誓子
クローバにまろびクローバ手に冷た 貞
機関車のあけくれ苜蓿の雨 槐太
水上機苜蓿しろき埼をゆく 誓子
しづしづとクローバを踏み茶を運ぶ 虚子
あひびきのほとりを過ぎぬ苜蓿 誓子
苜蓿は丘となりゆく恋の丘 誓子
苜蓿の焼跡蔽ふことをせず 波郷
鋸に乗られて支ふうまごやし 不死男
クローバに青年ならぬ寝型残す 三鬼
苜蓿に肋骨缺除感すべなし 波郷
同じ木の根に旅の三人やうまごやし 林火
苜蓿を女素足で駆け狂ふ 誓子
平遠をなす宮城の苜蓿 誓子
蹼が柔かに踏むうまごやし 風生