和歌と俳句

田螺 たにし

袖よごすらん田螺の蜑の隙をなみ 芭蕉

此市に浅香の沼の田螺うれ 支考

売捨に出るやきのふの田螺取 也有

そこそこに京見過しぬ田にし売 蕪村

拾ひのこす田螺も月の夕かな 蕪村

なつかしき津守の里や田螺あへ 蕪村

静さに堪えて水澄たにしかな 蕪村

鍬濯ぐ水や田螺の戸々に倚 蕪村

泥澄てそこらに見ゆる田螺哉 召波

はづかしと客に隠すや田螺あへ 几董

三日月や田螺をさぐる腕の先 一茶

小盥や今むく田螺辷あそぶ 一茶