糸桜こやかへるさの足もつれ 芭蕉
風吹けば尾ぼそうなるや犬櫻 芭蕉
目の星や花をねがひの糸櫻
ゆき暮て雨もる宿やいとざくら 蕪村
その寺の名はわすれたり糸ざくら 召波
こもりくの蜂にさゝれないと桜 几董
尼寺や彼岸桜は散りやすき 漱石
晶子
垣ひくし小椽の昼のうたたねの和魂さそへ八重いと桜
紙雛つるして枝垂桜哉 漱石
二人してひいて遊べよ糸桜 鬼城
山寺や彼岸桜に畳替
町口に彼岸桜や峰の雪 石鼎
晶子
わが庭の彼岸桜は巡礼のむすめの如し風吹けば泣く
まさをなる空よりしだれざくらかな 風生
糸櫻夜はみちのくの露深く 汀女
夕暮の久しきままに糸櫻 汀女
谷々に彼岸ざくらの枯木灘 角川源義「西行の日」
開花葉勢印のみほとけ糸ざくら 青畝
空・寂の小墓二つやいとざくら 青畝