榛名山大霞して真昼かな
爪を切るほうけ話や昼霞
石ころも霞みてをかし垣の下
夕霞烏のかへる国遠し
落る日を山家さみしくかすみけり
陽炎や鵜を休めたる籠の上
摘草や帯引きまはす前後ろ
摘草や笊市たちて二三軒
松風のごうごうと吹くや蕨取り
蕨たけて草になりけり草の中
蕨出る小山譲りて隠居かな
根杭を打ち飛ばしけり芹の中
芝焼けて蒲公英ところどころかな
蓮華野に見上げて高き日ざしかな
猫のゐてぺんぺん草を食みにけり
薺咲きぬ三味線草にならであれ
春の日や高くとまれる尾長鶏
あかあかと大風に沈む春日かな
遅き日や家業たのしむ小百姓
遅き日の暮れて淋しや水明り
永き日の自ら欺くに由もなし
長閑さや鶏の蹴かへす藁の音
長閑さやてふてふ二つ川を越す