和歌と俳句

陽炎

鶏にかげろふもゆる垣根哉 也有

かげろふや簀に土をめづる人 蕪村

陽炎やひそみあへずも土竜 蕪村

陽炎や名もしらぬ蟲の白き飛 蕪村

陽炎に兎出てゐる檜原哉 召波

かげろふの中来てくらむ戸ロかな 暁台

陽炎やしづかなる日の敷がはら 白雄

糸遊に児の瞬きやさしさよ 白雄

陽炎や景清入れし洞の口 太祇

陽炎や板とりて干す池のふね 太祇

陽炎や筏木かはく岸の上 太祇

まさご路や陽炎を追波がしら 几董

陽炎や春の汗干下小袖 青蘿

陽炎やそば屋が前の箸の山 一茶

陽炎に敷居を越る朝日哉 一茶

陽炎や笠の手垢も春のさま 一茶

陽炎や寝たい程寝し昼の鐘 一茶

陽炎にさらさら雨のかかりけり 一茶

陽炎のづんづと伸る葎哉 一茶

陽炎や道灌どのの物見塚 一茶

陽炎にめしを埋る烏哉 一茶

陽炎や臼の中からま一すじ 一茶

陽炎や鍬で追やる村烏 一茶

陽炎や雫ながらの肴哉 一茶

陽炎やわらで足ふく這入口 一茶

陽炎にくいくい猫の鼾かな 一茶

陽炎にぱつかり口を蜊哉 一茶

陽炎や歩行ながらの御法談 一茶

陽炎や手に下駄はいて善光寺 一茶

陽炎や目につきまとふわらひ顔 一茶

陽炎やそば屋が前の箸の山 一茶