木がらしや行抜路次の上総山
重箱の銭四五文や夕時雨
木がらしや折助帰る寒さ橋
焼穴の日に日にふへる紙子かな
夕やけや唐紅の初氷
菜畠や横すじかひの十夜哉
椋鳥と人に呼るる 寒哉
冬ごもりいか物喰を習ひけり
其迹は子供の声や鬼やらひ
はづかしや罷出て取江戸の年
湯に入て我身となるや年の暮
ともかくもあなた任せのとしの暮
猫の子のくるくる舞やちる木のは
づぶ濡の大名を見る炬燵哉
五六疋馬干しておく枯野哉
こがらしや風に乗行火けし馬
重荷負牛や頭につもる雪
真直な小便穴や門の雪
うしろから寒が入る也壁の穴
袵形りに吹込雪や枕元
母親を霜よけにして寝た子哉
わり渡す氷けぶりや門の川
とうふ屋と酒屋の間を冬籠
芭蕉忌や三人三色の天窓付