和歌と俳句

小林一茶

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野はかれて何ぞ喰ひたき庵哉

木がらしの吹留りけり鳩に人

木がらしやこんにやく桶の星月夜

木がらしや小溝にけぶる竹火箸

炭俵はやぬかるみに蹈れけり

みそさざいちつといふても日の暮る

はつ雪に白湯すすりても我家哉

冬枯ててもちぶさたの山家哉

冬枯にめらめら消るわら火哉

冬枯に看板餅の日割哉

埋火に桂の鴎聞へけり

炭の火や夜は目につく古畳

ちとの間は我宿めかすおこり炭

炭くだく手の淋しさよかぼそさよ

じつとしてをふらすや牧の駒

はつ雪や葛西烏がうかれ鳴

古利根の鳴夜の酒の味

耕さぬ罪もいくばく年の暮

口明けて春を待らん犬はりこ

夜のだまつて通る人もあり

餅の出る槌がほしさよ年の暮

梅干と皺くらべせんはつ時雨

鐘氷る山をうしろに寝たりけり

五十にして冬籠さへならぬ也

もろもろの愚者も月見る十夜