木がらしや物さしさした小商人
小便の百度参りやさよ千鳥
焼筆で飯を食つつ冬籠
うら壁やしがみ付ひたる貧乏雪
霜がれてせうじの蠅のかはゆさよ
さくさくと氷かみつる茶漬哉
うらの戸や腹へひびきて凍割る
ちよんぼりと雪の明りや後架道
垣際のぱつぱとはしやぐあられ哉
うす壁にづんづと寒が入にけり
木がらしや菰に包んである小家
木がらしや木葉にくるむ塩肴
我家や初氷柱さへ煤じみる
闇夜のはつ雪らしやぼんの凹
霜の夜や前居た人の煤下る
煤はきや旭に向ふ鼻の穴
うすうすと寝るや炬燵の伏見舟
雪車負て坂を上るや小さい子
御神楽やおきを弘げる雪の上
ひいき目に見てさへ寒き天窓哉
榾の火にせなか向けり最明寺
子宝がきやらきやら笑ふ榾火哉
さをしかのしの字に寝たる小春哉
木がらしやから呼びされし按摩坊
朝霜や歯磨売ときらず売